2021年秋季低温工学・超電導学会 セッション報告

12月14日(火)
A会場

REBCO 通電特性 1A-a01-04 座長 松本 明善

「1A-a01:田中ら(福岡工大)」は高電界下での特性評価のためにREBCO線材に銅板を貼り合わせて通電特性の評価を行った。銅板の厚さを変えてパルス通電法によって
測定を行ったところ、何も付けないものと比べて焼損せずに2-3桁以上の高い電界まで測定できることを示した。
「1A-a02:酒井ら(福岡工大)」交流損失低減等を目指して細線化を行ったテープ線材において局所的電流密度分布を走査型ホール素子磁気顕微鏡で測定を行った結果を
報告した。Jc分布によると細線化によって明確な劣化は見られないものの線材内部での劣化が観察されている様子を報告した。
「1A-a03:成嶋ら(NIFS)」は次世代ヘリカル核融合装置のマグネット用導体開発を行っている。その中でHTS-WISE導体の通電試験について報告を行った。T = 30 K,
B = 5 Tの環境下で焼損無く16.9 kAの通電に製鋼したことを報告した。さらに最大電磁力の磁場依存性についても評価を行い、8 Tにおいて131 kN/mもの電磁力に耐え
られることも示した。
「1A-a04:坂井ら(名大)」はパルス電流による超伝導線材の臨界電流測定を目指している。この研究では直流およびパルス電流を用いて接触抵抗と焼損電流の関係を
報告した。焼損せずに測定できた電源はパルス電源の方が大きく、より高い電流まで測定できることを示した。


臨界電流・ピンニング 1A-a05-08 座長 土屋 雄司

1A-a05:長村光造(応用科研)らは、長手に対する配向(ドメイン)の異なる市販REBCO線材のIcの歪み依存性おいて、その放物線形状の依存性について、線形のIcの歪み
依存性と直列回路モデルから説明できると報告した。Cu保護層の有無によって線材の配向ドメインが異なるという点が興味深かった。
1A-a06:松本明善(NIMS)らは、超伝導線材のプロセスインフォマティクスの適応に向けた、臨界電流測定データの収集及び解析プラットフォームの開発について報告した。
現在、このシステムはNIMS所内で使用可能とのことであり、公開による活用が期待される。
1A-a07:山本拓実(名大)らは、PLD法を用いて作製したBaHfO3添加YBCO薄膜におけるピンニング力の向上について報告した。比較的速い成膜では、BaHfO3の添加量が増える
ほどピンニング力が低下しており、これはBaHfO3のナノ組織が変化したためと結晶成長数値シミュレーションから予想した。
1A-a08:小澤美弥子(青学大)らは、フッ素フリーMOD法を用いて作製したClおよびZr, Hf, Sn, Tb共添加YBCO薄膜における磁場中Jc特性について報告した。Snの高濃度添加
では析出物が現れYBCOのc軸配向性が崩れる一方、Tb添加ではYBCOの配向には影響を与えないとした。BaMO3材料の析出の確認と、その結晶配向方向の解明が望まれる。


磁気浮上・磁気軸受 1A-p01-03 座長 内藤 智之

本セッションでは3件の発表があった。
1A-p01:尾上(東大)  宇宙環境下で用いられる超伝導磁気軸受の回転損失のシミュレーションについて報告した。複数のYBCOバルク体から成るリング状固定子およびリング状
永久磁石と鉄磁気回路から成る回転子で構成された超伝導磁気軸受は,重力等によって回転子が沈み込む過程で最大19.8 mWのヒステリシス損失を示すが,位置が固定された後
の回転損失は数mW程度となり装置の要求レベルをほぼ満たすとのことであった。
1A-p02:奥村(東大)  無重力の宇宙環境を想定して重力によって永久磁石の位置が変化しない構造を有する超伝導磁気軸受の動作実験について報告した。回転子への負荷が
減少するとともに回転損失が減少することが示された。今後は無重力環境下に相当する無負荷状態に近づけた場合について実験を進めていくとのことであった。
1A-p03:小森(九工大)  風洞実験を想定し,試験体を超伝導による磁気懸垂によって支持する磁力支持天秤装置について報告した。試験体を超伝導コイルのバイアス電流
(永久電流)と銅コイルの制御電流によって安定浮上させることが出来たとのことであった。


加速器・核融合 1A-p04-10 座長 村上 陽之

1A-p04:紀井(京大)らは、アンジュレーターに用いるバルク超伝導体の磁場分布測定システムについて報告した。ホールプローブを用いて3次元の磁場計測できるシステム
を構築した。測定結果からバルク体の性能に起因して磁場が異なっており、バルク特性を考慮して装置の構成を検討する必要性があることを示した。
1A-p05:岡村(高エネ研)らは、COMET超伝導冷却システムの建設状況と通電試験の結果を報告した。冷却試験の結果、熱負荷は想定通りで、HTS電流リードの短絡通電試験も
成功した。気液二層流での圧力損失解析の信頼性について質問があり、十分実用的な精度と考えており、引き続き実試験を通して検証するとのこと。
1A-p06:角(高エネ研)らは、COMETのカレントリードボックスの通電試験の結果について報告した。銅リードや冷却経路の改造の結果、初回の試験では実施できなかった
2916 Aでの長時間運転に成功した。HTSリードが常温保管中に水分の影響などで劣化したことが判明しており、樹脂でモールドすることで劣化を抑える構造に変更した。
1A-p07:青木(KEK)らは、QCSおよびBelleソレノイドのモニタリングシステムのアップグレードについて報告した。CSS Archiverから新しく開発されたArchiver Appliance
へシステムを切り替えることで、読み出し速度の向上やデータ量を1/10程度まで減らすことができた。
1A-p09:糸日谷(早大)らは、サイクロトロン用REBCOコイルの遮蔽電流低減の検討結果を報告した。コイルの励磁順やオーバーシュートを調整することで、遮蔽電流磁場を
小さくできることを解析により示した。今後の計画について質問があり、小型の試作機を用いて解析の妥当性を検証するとともに、実機の製作も進め2023年の通電を計画して
いるとの事。
1A-p10:梶谷(量研機構)らは、ITER TFコイルのパンケーキ製作の結果について報告した。Nb3Sn導体の熱処理後の長さや、含侵後の平面度は63こ製作したパンケーキすべて
が設計許容値内の精度で完成することができた。


12月14日(火)
B会場

デバイス 1B-a01-03 座長 山梨 裕希

1B-a01:上田(九工大)からはジョセフソン接合に斜め方向からの磁場を入力した時の最大電流の変調の理論解析が発表された。興味深い干渉パターンが得られており、
実験での実証が今後期待される。
1B-a02:内田(埼玉大)から地下資源探索に向けたディジタルSQUID磁器センサの出力に用いられる、電圧増幅回路の発表がなされた。システムに必要となる性能を満た
しながら、小型冷凍機中への実装仮定した回路設計が行われており、冷凍機中での動作実証が今後の課題であると思われる。
1B-a03:佐々木(埼玉大)からは量子もつれ光の検出実験を目指した、信号読み出し回路の低タイミングジッタ化に関する発表があった。磁気結合型dc/sfq回路に新たな
動作モードを導入することでタイミングジッタの低減に成功した。


小型冷凍機 1B-a04-08 座長 山口 作太郎

1B-a04:朱(Zhimin Guo, 同済大(中国上海)からのリモート発表:人工衛星等に搭載する冷凍機についての理論・数値計算的な検討についての発表であり、ピストンの
運動方程式を周波数100 Hzでの解析を行っていた。今後、用途や目的、性能などを明確にして、実機の製作と実験が待たれる。
1B-a05:増山(大島商船):4.2 Kに到達するGM冷凍機の効率改善を目指して、2種類の冷凍機の比較や磁性材料などの構成を変えて実験的研究を進めている。今までに
行われた実験データでは、改善の余地が残されているようであり、今後の改善が期待できる。同時にこの種の研究では最終的な目標値の設定明示が求められるであろう。
1B-a06:平野(NIFS)高温超電導テープ線材を積層してバルク超伝導体を作り、それを可動させることによって冷凍機用磁性材料に磁場のON/OFFを実現する研究発表で
あった。20 Kを実現する冷凍機であり、水素エネルギー研究の発展にも今後の研究進展が期待される分野である。磁場中でバルク超伝導体を動かすときには磁気圧力に
対して仕事をすることもあり、エネルギーが必要になり、この定量評価が今後求められよう。
1B-a07:澤矢(東工大):次の1B-a08と一連の発表であり、空調用エアコンをフロンフリーで実現するための開発研究である。磁性体が発熱と冷却が磁場のON/OFFで
繰り返されるときに、熱を輸送する冷媒循環のタイミングについて実験結果を発表していた。今までの発表に比べて、かなり性能改善が進展していて、もう少しで従来型
エアコンと同レベルに達するのではないかと思われた。今後の進展が期待される。
1B-a08:安部(東工大):1B-a07と一連の発表であり、冷却を行うための熱交換器についての実験結果を報告していた。今後の研究進展が期待される。


冷却システム 1B-p01-02 座長 平野 直樹

本セッションでは、液体水素タンクの内部圧力の時間変化と液体水素充填率の依存性、ならびにペルチェ電流リードの熱侵入量低減としてガス窒素で電流供給部を冷却
する研究の2件の発表があった。
1B-p01:永廣(神戸大)らは、液体水素タンクの蓄圧試験において、液体水素充填率を変えクライオスタット内部の温度・液面・圧力を計測した。充填率が50%を境に、
それより高い充填率では充填率が高いほど蓄圧時間が短くなり、逆に50%よりも少ない充填率では、充填率が高いほど蓄圧時間が長くなる結果が得られている。また、圧力
変化の予測式を導出し、充填率25%が最もよく一致した。本研究を一般化するため、クライオスタットの熱侵入量などの条件を変えることが今後重要であることが確認された。
1B-p02:イワノフ(中部大)らは、ペルチェ電流リードに対して、電流導入部を銅管形状にし、そのパイプ内をガス窒素で冷却する方法により、熱侵入量を30%ほど低減する
ことが出来たと報告した。熱侵入量はガス流量に依存すると考えられるが、流量依存性の確認は銅配管内部の形状とともに今後の課題とされた。また、応用を考えた場合、
ペルチェ素子自体は強度が弱く大電流用には複数の素子を多並列にする必要があると説明された。




12月15日(水)
A会場

HTSコイル 2A-a01-05 座長 藤田 真司

2A-a01:青柳(明治大)はFAIR導体におけるREBCO線材の座屈劣化の診断として、超音波とAEセンサーを用いた手法について報告した。座屈したREBCO線材をアルミ板に
挟んで圧力をかけて測定したところ、座屈した箇所で超音波透過特性が変化することを確認した。
2A-a02:大屋(関学大)は、MRI-REBCOマグネット開発におけるREBCOコイルの劣化原因究明のため、コイルの詳細構造を考慮した熱応力解析を実施した。パンケーキコイル
の表面にエポキシ樹脂がある場合と、さらにFRPシートがある場合について解析し、コイル上下の樹脂厚が異なる場合にコイルが反る現象を再現する結果を得た。さらに、
両面にFRPを貼り付けた場合には線材剥離方向の熱応力が最大で30 MPaを超えることから、これによりREBCO線材が剥離劣化した可能性について報告した。
2A-a03:間藤(北大)は、外部磁場下でREBCO線材が遮蔽電流によって大きく変形することをシミュレーションするため、PEEC法と粒子法を組み合わせた解析を行った。
解析の結果、外部磁場と遮蔽電流の相互作用によりREBCO線材が大きく変形し、テープがうねるような塑性変形を生じることを報告した。
2A-a04:小久保(早大)は、無絶縁REBCOコイルにおける遮蔽電流磁場解析の解析に要する時間を短縮する目的で、等価回路による簡易的な解析手法を報告した。解析に
要する時間が3次元解析に比べて大幅に短縮されることを確認したが、解析結果の精度については、今後実験との比較により検証するとのことである。
2A-a05:青木(日立)は、伝導冷却のMgB2-MRIマグネットについて報告した。W&R法で直径1 m級のMgB2コイルを作製し0.4 T-MRIを作製した。高安定化電源を用いた電源
駆動により高速励消磁かつ高い磁場精度を実現し、実際にMRI撮像が可能であることも検証した。


安定性・保護 2A-p01-05 座長 王 旭東

2A-p01:結城 拓真(早大)無絶縁コイルの両端電圧より劣化の有無を判断し、コイルの健全性を評価するという内容で、数値解析結果が報告された。局所Ic劣化を仮定
した解析結果から、劣化による電圧発生が確認された。
質問1)発生電圧から劣化場所の特定が可能か?
回答)特定できない。
質問2)劣化場所の発生電圧はどのようなパラメータによって決まるのか?電流分流はどのように広がっているのか?
回答)今回の解析結果ではわからない。今後は大口径コイルで検討する。
2A-p02:長渕 大河(早大)絶縁と無絶縁コイルについて、銅安定化層の厚みとクエンチ温度の関係について解析評価が行われた。無絶縁コイルのクエンチ温度は、銅安定化
層の厚みによる影響が絶縁コイルより圧倒的に少ないことや、大口径無絶縁コイルが小口径コイルよりさらにその影響が小さいことが報告された。
質問1)クエンチ温度において、大口径無絶縁コイルが小口径コイルよりも銅安定化層の厚みの影響が少ないのはなぜか?
回答)解析結果で大口径コイルの発熱と温度上昇が小さいことと、大口径コイルの銅安定化層の厚みを少なくしても温度上昇に違いが見られなかった。
質問2)大口径と小口径のコイルでどのパラメータが異なるのか?
回答)インダクタンスや熱容量が異なる。
質問3)大口径と小口径では線材長は同じではないのか?
回答)ターン数は同じだが、線材長は大口径が長い。補足回答)劣化場所からの電流転流は小口径より大口径コイルの範囲が広く、発熱密度が小さいために銅安定化層の
厚みが薄くても温度上昇しにくい。
2A-p03:濱田 一希(早大)無絶縁コイルのクエンチ保護として、常伝導発生後にコイル両端を電源回路から切り離すことによる温度上昇を解析評価された。一部Ic劣化が
あっても、ホットスポットは発生せず、コイル全体がほぼ均等に温度上昇する結果が報告された。
質問1)劣化場所がコイル中心で解析されたが、内層や外層の場合ではどのような結果が予測されるか?
回答)再内層や再外層では転流は片側へしか起こらないため、発熱集中が起こると考えられる。補足回答)再内層や再外層はダミー線を追加するので、発熱集中は起こら
ないように作られる。
2A-p04:藤田 真司(フジクラ)大口径10T級REBCOマグネットのクエンチ保護として、REBCO線材の超伝導層側または基板側に銅テープを貼り合わせて、その違いによる
クエンチ温度の評価を行われた。短尺線材と小型コイルのクエンチ試験から、どちらの貼り合わせ方向でも温度上昇は同じであった。コイル製作では、超伝導層に圧縮
ひずみが加えられる基板側への貼り付けを採用された。質問1)コイル内にIc劣化が発生した場合、追加した銅テープによる保護は、劣化後の再励磁も考慮しているのか?
回答)前提としてIc劣化のないコイルを製作する、万が一劣化が起きても焼損を防げる保護に必要十分な設計である。
2A-p05:武藤 翔吾(フジクラ)小口径10 T級REBCOマグネットを製作し、通電試験とコイルIc解析や遮蔽電流磁場評価が行われた。コイルIcは線材Icから定量的に予測可能
であった。定格500 Aで9.6 Tの励磁を達成した。遮蔽電流磁場の解析予測も可能であり、電流オーバーシュートによる遮蔽磁場の抑制も試験により確認された。
質問1)コイルIcは、両端電圧をコイル全長で割った値であるのか?
回答)測定は両端電圧とコイル全長で算出しており、解析はIc分布を考慮している。
質問2)コイル内のIc均一性が高いというのはどいう意味か?
回答)コイル内でIcの低い場所は運転温度によって変わるので、その影響を踏まえてサンプル線材IcでコイルIcがほぼ推定できるということは、内外層でIcが均一と考えられる。
質問3)線材Icのばらつきはどの程度か?
回答)コイル間で20 A以内、線材も同程度である。

超電導応用 2A-p06-10 座長 谷貝 剛

本セッションは、直前に1件の取り下げはあったものの、計4件の研究報告があった。電力機器への高温超電導(HTS)応用に、新しい方向性を与えるプロジェクトの進捗に
関しての報告で、産業界からのHTS応用への期待が小さくない事を実感させられる。
電動航空機応用として、2A-p07 神田(中部大)らは、電動航空機への適用を目指した軽量部材でHTSを断熱するため、歪み計測から断熱二重管の熱歪み解析の準備を着々と
進めている。さらに2A-p09斉藤(東大)らは、電動航空機内分散型推進システムの直流系統保護のため、抵抗型限流器で保護を行うシステムを提案して電気回路・熱的な
数値解析モデルを構築、テープ線材の並列数と安定化層厚みに対する保護動作を解析し、限流器の電動航空機への適用がこれまでと違う点について質問があった。産業応用
として特筆すべきは、2A-p10 伊東(テラル)らから報告された、アルミ押し出し材の誘導加熱に、HTSコイルを導入して高効率で均一な加熱を行う取り込みであった。実機
より小容量の電動機を用いた加熱試験結果が示され、その将来的な見通しについて質問があった。HTSコイルの新規需要としてのポテンシャルの高さを感じさせた。


12月15日(水)
B会場

A15線材 2B-a01-02 座長 淡路 智

2B-a01:王ら(KEK)は最近開発された直径50 mmのNb3SnとNb3Al細線を用いた撚り線導体を作製し、その臨界電流特性について報告した。Nb3Snは7x7の49本撚り線、Nb3Alは
7本撚り線とし、直線状で熱処理後に異なる径のボビンに巻き付けてIc測定を行った。両者ともΦ30 mm以上のボビンでは劣化が見られないことが確認され、それより小さいボビン
ではIcの低下が見られた。結果として撚り線導体とすることで導体の可撓性が向上し、限界曲げひずみは導体直径ではなく素線直径から計算される曲げひずみによって整理
できるとした。
2B-a02:伴野(NIMS)は、ブロンズ法Nb3Sn線材におけるTi, Hf, Ta添加効果について、ブロンズへの添加とNbへの添加を行なった結果について報告した。内部拡散法でみられる
Hf添加による粒径の減少はみられず、臨界電流特性もHf添加試料で若干低めとなった。Ti添加は核生成促進、Hf添加はSn拡散の抑制の効果があると報告されており、今回はTi添加
による核生成促進の効果が強く表れた結果と考察した。熱処理条件の問題もあるが、核生成促進とSn拡散の抑制の効果を相補的に組み合わせることができれば飛躍的なnon-Cu Jc
向上も期待できるのではと質問があり、内部拡散法との違いなども含めて議論が行われた。


超電導接合 2B-a03-05 座長 小黒 英俊

超伝導接合のセッションでは3件の報告があった。
2B-a03:伴野(NIMS) Nb基合金を用いた超伝導接合に関する発表であった。Nb-HfもしくはNb-W合金はNbとの合金の中でも超伝導特性が高いことから、これらを使って接続を
行った。NbSnとは熱処理によってNb合金の界面にNbSnを生成することで、超伝導での接続を実現した。NbTiとは、機械的にプレスすることによって超伝導接続を実現した。
2B-a04:小林(NIMS) 伴野氏の発表にあった、Nb-Hf合金を用いた接合の評価に関する発表であった。NbTiとNbSnをNb-Hfで接合し、その電気抵抗を電流減衰法で測定した。
10-14の接続抵抗が得られており、超伝導接合がうまく機能していることが示された。
2B-a05:中井(青学大) 高強度Bi2223線材の超伝導接合に関する発表であった。これまで補強のないDI-BISCCO Type-Hで行ってきた接合を、Type HT-NXで行うため、接合部の補強
を外し、接合を作製した。Type-Hでの接合に比べ、接合部の臨界電流は下がっているが、熱処理条件の最適化により100 Aクラスの超伝導接合試料を得た。


バルク作製・着磁 2B-p01-p06 座長 紀井 俊輝

本セッションでは4件のバルク作製に関する発表、2件のパルス着磁に関する発表があった。
2B-p01:小池(青学大)からは、ex-situ MgB2バルクにおける焼成前の圧延工程による緻密化とそれによる焼成温度の低温化についての試みが報告され、650度までの低温化が
達成されたことが報告された。炭素ドープについては均一度の向上が必要でありさらなる検討を進めているとのことであった。
2B-p02:三輪(青学大)からは大型DyBCO溶融凝固バルク合成を目指したプロセスの検討状況について報告が行われた。徐冷中の温度保持時間の延長がクラック発生の抑制に
寄与しているとみられるとのことであった。また切断したバルクの超伝導接合についても捕捉磁場分布測定結果を示し報告が行われた。
2B-p03:小山田(岩手大)からはex-situSPS法Nb3Snバルクにおける元素添加(Ti, Ta)による特性向上について報告が行われた。
2B-p04:箱石(岩手大)からはSPS法によるCaKFe44バルクの特性について報告が行われた。ボールミル混合でFeAsピークが消失すること、高温焼成では組成ずれによるCa不足
が疑われるとのことであった。
2B-p05:吉田(岩手大)からは、MgB2バルクと無酸素銅を積層してパルス着磁を行った結果について報告があった。無酸素銅の発熱を考慮した解析との比較が行われた。
2B-p06:YU(足利大)からはGdBCOバルクにおけるパルス着磁において、クロス型ヨークを用いた場合の着磁について報告が行われた。